「ダライアスバーストACEX+」の感想とレビュー。
ダライアスバーストACEX+のプラチナトロフィーを取得したので、感想をまとめる。
今作は、筆者の”イチオシ”とも言える作品なのだが、果たして本当にイチオシたるゲームなのだろうか?プレイ中の過熱したテンションに流されて、盲目的に持ち上げ過ぎているという状態になっていないだろうか?
その辺も冷静に見ながら、評価と感想をまとめていきたいと思う。
概要
プラットフォーム | PS4/Switch |
発売日 | 2021/02/25 |
メーカー | タイトー(開発:ピラミッド) |
ジャンル | シューティング |
キャッチコピー |
集う。戦う。歴史を刻む。 |
販売元がタイトーで、開発がピラミッド。ピラミッドは、他に武装神姫やパタポンといったゲームを作っている国内のゲームメーカーである。パタ♪パタ♪パタポン♪
ジャンルはシューティング。絵面としては、古き良き横スクロールシューティングといった感じであり、ゲーセンによくある同ジャンルの物を想像してもらえると伝わりやすい。
…というか、そもそも今作はゲーセンで稼働していた「ダライアスバーストアナザークロニクルEX」を家庭用に移植したものなので、ゲーセンにあるゲームその物と言っても間違いでは無いのだが。
以下、項目ごとの評価と感想。
#戦闘(ゲーム性)
弾を避けるのではなく、弾を消すSTG。機体や遊び方によっては、従来の弾避けをメインとしたSTGにすることも可能。
今作の目玉システムとして、「バースト」のシステムが挙がる。一部の機体は使用できないが、半数ぐらいの機体で使用することが可能。
弾消しと攻撃の両方で使用できる、文字通り攻略の”カギ”となるシステムであり、それと同時に今作を他のSTGとは一線を画すSTGたらしめる要因となっている。
弾から自機を守る壁に加えて、固定レーザーのような攻撃装置として使用することができる設置バースト。
画面の端から端まで届く、高火力レーザーのバースト。
そして、特定の敵が放つバースト攻撃を無効化して、バーストゲージを瞬時に全開させるカウンターバースト。
…と3つのバーストが存在しており、その全てがゲームプレイにおいて重要な役割を持っている。
全てのバーストが弾を消す効果を持ち合わせているため、これらを上手く使う事で弾幕を一気に無力化することが可能。敵の弾を無効化しつつ、太いレーザーで大軍を薙ぎ払っていくのは痛快。「チュドドドドド」という敵の爆発音が気持ちいい。
更に、カウンターバースト以外のバーストも、それを用いて弾を消したり敵を倒すことでゲージを少量回復することが出来る。なので、上手く使えば無限に使い続けることも可能。
このバーストの使いどころや使い方を試行錯誤しながら、強敵戦やステージを乗り切るのがとても楽しい。上達する面白さがある。
…とか書いていると、「弾を消しまくれるSTGって簡単なのでは?」と思う人もいるかもしれないが、そこは安心してほしい。
たしかに、今作はバーストを使用することを前提としているような設計をしている。しかし、それは逆に言えばバーストを上手く使える前提であるとも言える。よって、バーストの使い方が下手であれば、地獄のような弾幕を浴びせられる羽目になってしまう。
なので、バーストを上手く扱えなければ苦戦は必至。そういうバランスである。STGらしい歯ごたえを求めている人は安心してほしい。
このことから、「難所の対策を試行錯誤して発見していく」という、STGが特に強く持っている面白味は、今作も問題無く内包している。そういう面では、ストイックに攻略を模索することに面白味を見出すコアゲーマーにおすすめ。
これだけ書くと、逆に「初心者には厳しそう」とか「STGだし所詮はマニア向けのゲームかー」というマイナスな印象を持ってしまう人もいるかもしれない。
そんな人たちも安心してほしい。今作には、初心者救済的な要素として「アーム」のシステムがある。
アームとは、ざっくり言えば体力のようなもの。今作は、被弾すると残機が減る前にアームが減り、そのアームが尽きた状態で更に被弾すると残機が減るという仕様になっている。
なので、アームをきちんと回収しながら進めていけば、初心者でもいきなり死にまくって手も足も出ない…という事は無くなる。
この疑似的な体力要素であるアームに、弾消しが出来るバーストを絡めると、初心者にも遊びやすいカジュアルなSTGという仕上がりになってくれる。
これらの要素から、やり込み派のゲーマーだけではなく、STGと縁が無かったカジュアルゲーマーも楽しめるゲームになっていると思う。
STGというジャンルがそもそもニッチでマニアックなジャンルであるのは否定できないが、その入門的なソフトとしてこのソフトはかなり秀でていると感じられた。
#グラフィック
元が2011年にリリースされていたゲームだけに、グラフィックは特別綺麗であるとは感じられない。しかし、かと言って汚いとも思わない。
ボスの悉くが海洋生物をモチーフとしているゲームだが、巨大戦艦と化した馴染みある海洋生物たちが、独特な動きをしながら弾を撒き散らす様はなかなかにユニーク。
ヘドバンするダイオウグソクムシや、突然重武装をしてレーザーをぶっぱなし始める鮫など、個性的な魚介類がプレイヤーを待ち受ける。
身近な生き物を模しているだけに、戦っていて謎の親近感が湧いてくるのも今作ならではの魅力なのかもしれない。
#ストーリー・キャラクター
これらの要素について、「あって無いような物」という言葉がここまでしっくりくるゲームも珍しい。
ゲーム開始直後からすぐに戦闘機を駆り、ひたすら敵を撃墜していくだけのゲーム性をしているので、話もへったくれも無い。
そして、話が無かったところで「それでいい」としか思わない。なぜなら、この手のゲームにストーリー性なんて元々求めていないから。
キャラについても同様。というか、キャラというものがそもそも出てこない。出てくるのは物言わぬ自機と敵戦艦のみ。強いて言えば、上でも書いた魚介類の戦艦達がキャラクターと呼べるだろうか。
ゲームの世界観的な設定はもちろんあるだろうが、それを考慮しなくてもこのゲームを楽しむことが十分に可能。更に言えば、最初からそこに期待してこのゲームを手に取る人はおそらくいないだろうし、そもそも開発側も開発の段階でここに力を入れようとは思っていなかっただろう。
なので、ここの分野が希薄だったとしても、問題になるとは一切思わなかった。
#システム
モード選択時の時間制限が邪魔。元々がアーケードゲームであり、それの移植版ということでこの仕様が残っているのは仕方が無いのかもしれない。
…が、それは開発側の事情である。ユーザーとしては、それを理解することは出来ても許容までする義務は無い。故に、ここは不便だったと指摘させてもらう。
特に、クロニクルモードのエリア選択時や、ゲーム開始前の使用機体選択時の時間が比較的短めであり、ゆっくり見る暇が無い。家庭用でここまで急かされる必要があったのだろうか?
また、機体やエリア選択を間違えた時にキャンセルすると、また最初のゲーム開始画面まで戻されるのも面倒。
選択を一度間違えるといちいちスタート画面に戻され、また一からモード選択…というのは流石に不便過ぎ。今時ここまで融通の利かないゲームがあるだろうか?
上記の時間制限の存在も相まって、この辺のシステムが不親切すぎるのは素直にマイナス。前作・クロニクルセイバーズの方がこの辺はまだマシだった。
まぁ、あちらのACモードは今作とほとんど同様の仕様だったので、同じ不満があったが…。それならそれで、なぜこの仕様を前作から放置し続けたのか。いささか疑問である。
ついでに、タイムアタック制のイベント等で、画面右下に出るタイマーも邪魔。
機体がそこに被ってしまうとほとんど機体が見えなくなってしまうので、シビアな場面ではそれが命取りになってしまう。せめてタイマーの表示をON/OFFで切り替えさせてほしかった。
その他にも、各種ボスやステージを個別に練習できる「プラクティスモード」も欲しかった。
ある程度プレイ回数を重ねてくると、苦手な部分に限定した練習をしたくなってくるのだが、今作にはそういった練習をサポートしてくれるようなモードが無い。
なので、苦手なステージやボスが出てきても、それらが出現するルートを最初からそいちいち進めなければならない。
しかも、そのステージだけリトライで何度もプレイ…という事は不可能。よって、一度練習したらもう一度最初からやり直さなければならない。もうただただ面倒。
この辺に関しては、もう率直に言って不便でしかなかった。
ただでさえやり込みを必要とするジャンルであるにも関わらず、そのやり込みに寄り添った仕様を取っていないというのは、ユーザーに対してただただ不親切だったと言わざるを得ない。
#調整
STGなので当たり前なのだが、道中、ボスの攻撃ともに何らかの対策方法が必ず用意されている。なので、初見で無理ゲーに見えてたとしても、きちんと分析すれば無傷でやり過ごせるようにはなれる。
STGとしてはそれが当たり前なのだが、逆にそこがきちんと成されているというのは純粋に評価点となる。
ただ、追加されたイベントの「激戦・暗緑宙域断裂帯」は道中の攻略が全然分からなかった。そして、ステージの構成がそもそも面白味を感じられるものでは無かった。
敵の攻撃のパターンを知るというよりかは、「過剰に配置されたギミックや敵の中をどう突き進むか」という感じのイベントであり、ごちゃ付き過ぎてよく分からない。更に、攻略法も検討が付かない。特に2面の道中。
それに追い打ちをかけるように、ステージごとの個別練習もできない。なので、分析や練習をするのもかなり面倒。
全てのボス戦や一部を除く既存のステージは、何回かやっていれば分かってくるという、いわゆる「覚えゲー」としてうまく作られていた。
が、この新しく実装されたイベントに関しては、何か履き違えたものを感じてしまった。もはや公式に攻略法を聞いてみたいレベル。無茶ぶりの塊。
総評
項目 | 点数 | コメント |
戦闘(ゲーム性) | 29/30 | 王道横スクロールSTG。バーストが持ち味にして華であり、戦略性と爽快感の両立が上手く成されている。他にも、アームという初心者救済のシステムもあり、カジュアルに楽しむゆとりが設けられているのも〇。 |
グラフィック | 3/5 | 特別光るものは無い。元が10年以上前のゲームであるが故、革新的な衝撃は皆無。ただ、敵の戦艦はよく動くので見ていて面白い。 |
ストーリー・キャラクター | 3/5 | ストーリーはあって無いような物。キャラクターについても同様。かと言って、そもそもここに期待するようなゲームでは無いし、この部分が無くてもゲームとして問題無く成り立っている。採点項目として設ける必要性すらないと思うが、一応…ね? |
システム | 16/25 |
アーケードのゲームを基にしているだけに、ところどころ不便な面が目立つ。練習に適したモードが無いのも不親切。 |
調整 | 24/25 |
一部を除いて良好。やればやるほど対策の答えが導き出されていき、どんどん難所の突破がスムーズになる。STGらしい、やって覚えるという「古典的なゲーム攻略」の面白味がきちんとある。 |
バースト (独自項目) |
10/10 |
STGと言えば弾避けが真っ先に浮かぶジャンルだったが、今作はその逆を行くゲーム性をしている。設置バーストの置き方や角度調整、カウンターバーストの爽快感…等、遊べば遊ぶほどプレイの幅が広がり、どんどん面白くなっていく。このシステムは「秀逸」の一言。 |
合計 | 85/100 | ~59:駄作 60~69:凡作 70~79:佳作 80~89:良作 90~100:名作 ※暫定 |
独自性と中毒性の強いSTG。
とにかくバーストのシステムと、それを活用したバトルデザインがツボ。プレイヤー毎に違った活路を見出すことができ、パターンゲー&覚えゲーの典型だったSTGというジャンルにおいて、新しいプレイフィールをもたらしてくれる。
アーケード準拠なゲームであるが故に不便な面も多少は目立ったが、ゲーム性に直接関係してくる部分では無かったのが救い。
アームや設置バーストという、STG初心者でも遊びやすくなるようなシステムが実装されているので、多くのゲーマーに勧められる作品になっている。
「STG」というジャンル故に人を選ぶゲームではあるかもしれないが、仮にそうであったとしても、多くの人にとりあえず一度は触れてみてもらいたい。そう思える程度には気に入ったソフト。ハマる人はとことんハマると思う。
トロフィー攻略はこちら。
→【トロフィー】 ダライアスバースト アナザークロニクル EX+ 【攻略】 - 無名の手記
終わり。