「ホッピングガールこはね EX」の感想とレビュー。
「ホッピングガールこはね EX」のトロフィーをコンプしたので、さっそく感想をまとめてみる。
1月頃にPSstoreで偶然発見し、何とはなしに惹かれるものがあったので発売日に購入した今作。
実際に遊んでみた結果…予想以上に楽しめた。インディーズらしい良い意味でのあっさり感と、見た目の印象とは異なる硬派な歯応えと、いとしさとせつなさと心強さと…って感じでした(?)
概要
プラットフォーム | PS4/Switch |
発売日 | 2023/2/16 |
メーカー | 株式会社ディー・オー |
ジャンル | アクションパズル |
キャッチコピー | 操作一つで楽しく遊べる、本格アクションパズルゲーム! |
メーカーは「株式会社ディー・オー」。ゲームの他にも遊技機を開発していたみたいだが、現在はそちらの分野はご無沙汰の模様。
ゲームの開発実績に関しては、このホッピングガールこはねシリーズ以外は特に知っているものは無かった。コンシューマよりも、スマホ向けのソフトが多いっぽい。
ジャンルは「アクションパズル」ということで、ホッピングで跳びながら数多のスタンプを踏みまくり、罠に気を付けながらゴール地点を目指す…という感じ。
キャッチコピーにもある通りかなりシンプルな操作性をしているのが特徴で、誰でもすんなりゲーム性に馴染むことが出来るだろうということを、簡単に察することが出来る。
#戦闘(ゲーム性)
古き良きジャンプアクションと、ライトなパズル要素。
上でも書いたが、今作のゲーム性は3Dアクション+パズルといったところ。
そこまで手の込んだ作りでは無いが、これはこれで悪くないシンプルさ。
〇. 操作が極めて単純であるが、癖がある
使用するボタンはアナログスティックのみ。
しかし、微妙に慣性がきいており、急に止まったり大きく方向転換をするということが難しい。
初速に関しても、加速が入るような感覚がある。要は、常に等速で動いてくれるわけでは無く、動き始めは速度が低い。スピードが乗るまでに若干のラグがある。
これもまた微妙な癖であり、時には加速するための距離を確保した上で跳ばなければならないシーンが出てきたりもする。
こんな味のある操作性をしていて、かつ決まったペースで跳びはねる自キャラを操作してあれこれするのだから、そりゃあ難しくないはずがない。
しかし、これだけ操作が単純であり、そして絶妙に制御が難しいアクションゲーム…となると、自然と全身に力が入ってしまう。
「跳べええええええええええええええ!」って言いながら、身体が傾いてしまうようなああいう感じ。レースゲーとかによくある、思い通りに動かすのが難しいからこそ無意識に力んでしまうあの感覚が、このゲームには強く感じられた。
〇. 豊富なギミックと濃すぎないパズル要素
ジャンルには「アクションパズル」とあるが、そこまでパズル要素は強くない。このゲームで言う「パズル要素」とは、まさしくスタンプのことである。
このゲームにおけるスタンプとは、ステージ内に配置されているギミックの事を指す。配置数はかなり多く、そしてそのそれぞれを踏むことで色々な効果が発揮される。
指定された方向に大きくジャンプもの、新たな足場を出現させるもの、順番に踏むと最終的に長距離ジャンプができるもの、特定地点まで一気に飛んでいけるもの…その他にも、様々な変化を起こすスタンプがある。
このスタンプの特徴を理解することがステージ攻略のキモとなっており、ステージによってはスタンプの配置をよく観察して、適切なルートを構築していかなければならない。
この「ルート構築」こそが、今作におけるパズル要素となっているわけだが、一見すれば簡単に分かるレベル。
ただ、「ではその簡単に分かるルートを、癖のあるホッピングアクションで容易く突破できますか?」となると話は変わってくる。
シビア目なアクションと易しめなパズル。この二つのバランスがちょうどよく、どちらの面もストレス無く楽しむことが出来た。
〇. 衣装とステータス
後でも書くかもしれないが、今作はかなり衣装が多い。その上、「実装できなかった衣装案もあった」とかなんとか…なんつー衣装への執着心。”着せ替え人形”と書いて”ホッピングガール”と読む時代が来るとは思わなかったよね。
また、衣装によって初期ステータスが異なっており、ゲーム攻略にも影響を与える要素となっている。
個人的な話になるが、筆者はゲームを遊ぶ際に衣装の変更をほとんどしない質の人間である。しかし、今作のように、ステータスを絡ませられると変えざるを得なくなる。
逆に言えば、ステータス変更のようなゲーム攻略に関わるものとされることで、嫌でもこうした要素に目が行くようになる。
そういう意味では、「衣装変更という今作における大きな特徴を楽しむには良い仕様だったのかなぁ」と、プレイしながら感じられた。個人的な推し衣装は、黒巫女とサンタとワニです。
×. やること自体はかなりシンプル
そりゃそうだ。なぜなら、ひたすらホッピングをし続ける主人公を、左スティックだけで導いてやれ…という至極単純なゲームだからね!
このシビアなアクションが癖になる人はなるのだろうが、最初のステージをやってみてそこまで響かなければ、そこから印象が変わることは無いと思う。そう言えるぐらい、やることはシンプルで最後まで変わらない。
筆者の場合は、そもそもこの手のジャンプアクションが好きだったので楽しめたが、そうじゃない人は最後まで楽しめない可能性が高そう。
×. 幽霊による視界が狭まるギミック
今作のギミックの一つに、幽霊に取りつかれると視界が悪くなるというものがある。
言うまでも無く、かなり不利になるギミックである。しかし、回避方法が基本的に存在しない。
ここまで厳しいペナルティなのに、避ける手段がほぼ無いに等しいのはどうなのだろうか?と感じられた。
視界が悪くなったところで、結局プレイヤーがやることは足を止めて視界が戻るのを待つだけ。
そうなってしまうと、難しくなるというよりかは単純にテンポが悪くなり面倒に感じるだけだったので、あまり良いギミックでは無かったかなぁという印象だった。
#グラフィック
特別感は無い。
綺麗さは感じないが、かと言って汚いとも思わない。
しかし、「PS4でリリースされているゲームである」ということを考えると、少々見劣りする感じはある。
同じアニメ調のゲームであれば、これよりも綺麗なグラフィックをしているゲームは沢山ある。ギルティとかスタマスとか。
その点を考えると…加点できる要素が無いかなぁという印象。
#ストーリー・キャラクター
ストーリーは空気だが、衣装への力の入れ具合が凄まじい。
ストーリーは、「獅子王に奪われた、『王族の衣』という宝を取り戻しに行こう!」というシンプルなお話。
各エリアの1ステージ目に短い寸劇が入ってくる程度のストーリー描写である。その内容も、ドラマ性がかなり希薄であり、どちらかというと日常系アニメのようなほんわかしたゆるい感じ。
まぁ、元々緊迫感のある雰囲気をしたゲームでは無いので、これはこれで正しいとは思うが…。
それにしたって、話の描写が薄すぎて存在感がほとんど感じられなかったのは事実。よって、この項目に関しては評価点がほとんど無いように感じられた。
キャラに関しても、ストーリーが薄味故に掘り下げはほぼ皆無。
可愛い女の子とかわいい(?)カエルが、のんびり二人旅している模様がうすーーーーく描かれるだけなので、キャラの人間性や背景というものはほとんど入ってこない。
…だが、それでいい。
その代わりと言ってはなんだが、キャラに関しては衣装の数が尋常じゃ無いほど実装されている。
色違いのコンパチ衣装かと思えば髪の色や肌の色が変わったり、物によっては顔がヤンデレ風味になったりマニアックな日焼け跡が付いたり…と、ただの色違いに留まっていない。
この衣装のバリエーションに対する熱の高さは、プレイしていれば嫌でも感じられる事だろう。
そういう意味では、主人公であるこはねの魅力を最大限まで引き出そうとしている姿勢は伝わってきた。
#システム
複雑さが無い故に、遊びやすさは整えられている。
今作は、ステージ選択性のゲームである。ステージの総数は100きっかり。オートセーブ有、ロード時間は普通。
プラチナトロフィーを取るまでにバグと遭遇したことは無く、そっちの心配は不要。
特別目立って良かった点は無かったが、かと言って不満点も無かった。そういう感じ。至って良好…と思ったが、一点だけ不満点があったので書いておく。
×.Sメダルのスタンプが見つけにくい
今作のやり込み要素として、Sメダルというものがある。各ステージに3つ配置されている専用のスタンプを踏めば入手できるというだけであり、入手自体は簡単。
しかし、それを見つけるのが少々手間になる。なぜかというと、通常のコインスタンプとプラチナコインのスタンプが、同じ色をしているためである。
通常のコインスタンプはどのマップでも配置が多い。そんな中で、3つしか配置が無い同色のSコインスタンプを毎回探すのは面倒だった。
色を変えるだけでよかったので、一目見て分かるような見た目に変えてほしかった。
#調整
歯応えは十分にアリ。
中盤あたりから徐々に牙を剥き始め、8面以降は終盤相応の難しさになる。
クリア自体は簡単にできるだろうが、Sランク狙いのようなやり込みを意識すると、難易度は跳ね上がる。
〇. 理不尽さは0
最初から最後まで、「これ無理じゃね?理不尽じゃね?」と感じるシーンが一切無かった。
失敗する時は、いつも自分の操作ミスか、トラップやギミックの存在を知らなかったというケースのみ。”どうあがいても無理だった”と感じる場面が皆無だった。
ギミックについても、一部かなり妨害が激しい箇所が見られたが、そこは今作のジャンル名にもある”アクション”&”パズル”でどうにかなる仕様。
進むルートや順番を変えたり、ギミックを発動する順番を変えたり…何らかの解決策が用意されていることがほとんどだったと思う。
最悪、アクションゲームらしくプレイヤースキルによる曲芸じみた操作をすれば、妨害を避けることも可能…そうな感じはした。少なくとも、そうした操作でごり押し気味にクリアしたことが無かったわけでもない。
終始そんな感じだったので、適度に骨を折りながら気分よく最後まで楽しめた。
総評
項目 | 点数 | コメント |
戦闘(ゲーム性) | 21/30 |
良くも悪くも”ド”シンプル。オーソドックスなアクションに、複数のギミックを組み合わせたアクションパズル。 これと言って衝撃的なシステムは無かったが、ジャンプアクションのみという古き良きアクション性と、軽いパズル要素の組み合わせは独自の面白味があった。 |
グラフィック | 7/10 | 特別加点要素は無い。インディーズ相応と言ったところ。 |
ストーリー・キャラクター | 6/10 |
シナリオはかなり空気。キャラの掘り下げも無いので、少々味気なかったかも。 その代わりと言っては何だが、衣装のバリエーションは凄まじい。そこから、制作陣の主人公への愛(と性癖)が垣間見えたのは面白かった。 |
システム | 16/20 | 不満点はほぼ無し。バグが無かったり、オートセーブがあったりで、昨今のゲームらしく快適性は十分。これでSメダルが見つけやすければ文句は無かった。 |
調整 | 19/20 |
ゲーム後半から歯応えが出てくる。慣性が利くやや癖のある操作性に、多彩なギミックが絡むとシンプルながらも難しさを感じさせる難易度になる。 ”やり過ぎ”と感じる面はほとんど存在せず、よく観察すれば攻略法を発見するのは難しくない。反復と分析で突破口を簡単に開けるのは、ゲームとしてよく出来ている証拠だと思う。 |
マジカルホッピング感 |
9/10 |
ゆるそうに見えて、中身はガチ目で硬派。それでいてただのジャンプアクションかと思えば、数多のスタンプを用いたパズルじみたステージ構成をしており、頭を使うシーンも大いにある…と、ただもんじゃあねぇホッピングを楽しませてもらう事が出来た。 操作性の癖といい、ちょうどいい難易度調整といい、豊富なギミックとそれが連なってどんどん進んでいくパズルといい、アクション面とパズル面共に、その”クセ”を楽しむことが出来た。 |
合計 | 78/100 | ~59:駄作 60~69:凡作 70~79:佳作 80~89:良作90~100:名作 ※暫定 |
懐かしさと新鮮味を感じるジャンプアクション。
「主人公が跳ぶだけ」、なんていうゲームは遥か昔から存在する。
そんな中で、同様のゲーム性に様々なアレンジを加えてきた今作は、昔によく遊んでいたゲームに通ずる懐かしさを感じさせてくれた。
しかし、それと同時に見たことのないようなギミックや、ステージに隠された綺麗に繋がるルートをパズルのように解き明かし、それを本作独自のホッピングアクションで綺麗に乗り切るというのは、体験したことのない新鮮味があった。
この面白さは実際にやらなければ多分伝わらないと思うので、少しでもこの手のアクションゲームが好きであるという人にはおすすめしておきたい。
余談だが、おまけ要素であるこはねの部屋で閲覧できる、4コマ漫画が個人的に結構好きだった。
ネタの方向性がちょいちょい尖っており、作者のギャグセンスがうかがえる。進める程解禁されるようなので、もしこのゲームをプレイする機会があれば、そちらの方も見てみることをおすすめしたい。
終わり。