ニーアレプリカント(リメイク)の感想とレビュー。
※ネタバレ注意。
ニーアリメイクのプラチナトロフィーを取得したので、レビュー記事を書いていく。
ネタバレを知りたくない場合は、この記事を読まないか一番下の総評だけ見る方がいいかも。
ちなみに、筆者は関連作品であるDODは3しかプレイしておらず、ニーアオートマタに関してはAエンドまでしかプレイしていない。
なので、「関連作品との繋がりという点は、一切評価に含んでいない」ということは先に断っておく。
概要
プラットフォーム | PS4/Xbox One/Steam |
発売日 | 2021/4/22 |
メーカー | スクウェア・エニックス |
ジャンル | アクションRPG |
キャッチコピー |
遠い約束。千年の嘘。 |
開発はトイロジックで、販売はスクエニ。ジャンルはA・RPG。大きな変化は無い。
今作は、2010年にPS3で発売されていた「NieR Replicant」のリメイク作品となる。Wikipediaには「バージョンアップ版」と表記されているが、この記事では馴染みのある「リメイク」という言葉を使わせていただく。
PS3版を一度プレイ済みだったという事もあってか、あまりプレイしていて響かなかったというのが正直な感想だが…まぁその辺をこれから書いていこうと思う。
#戦闘
原作から言われていたが、戦闘は面白いとは言えない。リメイクされたにあたって変更された点は多少あるのかもしれないが、プレイしている感触は特に大きな変化があるようには感じられなかった。つまり、はっきり言って戦闘はつまらないまま。
弱攻撃と強攻撃、そして各種魔法を使いながら戦うというシステム。回避と防御もあり、魔法の数はそこそこ多い…が、ボタン配置の都合上回避と防御を使用するのであれば、魔法は2つまでしか装備できない。
回避と防御の両方を使用しなくても、魔法は最大で4つしか使用できない。なので、戦闘の工夫のしようがあんまり無い。
動きはかなりもっさりしており、動かす面白味や爽快感は皆無。これはPS3版の頃から言われていたが、改善されている様子は感じられなかった。
新たに追加されたシステムも無いので、目新しさも無い。
コンボ要素も無く、属性やビルドといった要素も薄い。なので、戦闘における工夫の余地が無く、最初から最後まで単調。
良く言えばシンプル、悪く言えば時代錯誤で退屈…といった戦闘。
せっかくのリメイクで、原作の頃から戦闘に難があると言われていた作品だったので、「新しい戦闘システムの1つ2つぐらい追加してくれても良かったのでは?」と感じざるを得ない出来だった。
#グラフィック
オリジナル版に比べて、全体的に色鮮やかになってより綺麗になった印象。オリジナル版から飛躍的に進化したというわけでは無いが、綺麗であることに違いは無い。
キャラに関しては、全体的にアニメっぽくデフォルメされた感じになったという感じ?良い意味で人形っぽさが増して、イモっぽさが無くなった。
#ストーリー・キャラクター
周回でどんどんEDが変わっていくシステムは継承。
CエンドとDエンドは相変わらず切なさが残るビターエンドで、個人的に好みな終わりだった。
それだけに、Dエンドで消えた主人公の復活が達成されてしまうEエンドは、その余韻を台無しにされてしまうような、かなり残念な終わり方だった。
「切ないからこそ良い」という終わり方があり、それの代表格がこの作品だったのだが…なんでそれを否定する形の終わりを、追加エンドとして実装してしまったのだろうか?
あの終わり方でも十分綺麗に締められていただけに、余計な終わりを追加されてしまったというのは、個人的には作品に対する思い入れに泥を塗られたような気分になってしまった。まぁ、FF10でも同じことをやっていたし、もうそういうメーカーなのだろうと諦めるのが正解なのかもしれないが。
Eエンド以外にも、海岸の街の追加ストーリーも特に面白いとは感じられなかったし、本リメイクにおける追加要素として一番の目玉であったであろうストーリー関連が悉く微妙だったのはマイナス。
ポッと出の少女(マモノ)と配達員の関係や絆があれこれ…みたいな感じの話だったが、いまいち少女に感情移入が出来ず全然引き込まれなかった。
配達員もあれだけ懇意に世話してたのに、少女の正体を知ったら人が違ったかのように拒絶しまくってたし。いくら相手がマモノだったからといって、「そんな瞬時に豹変するのは薄情すぎん?」って思ってしまった。少女は少女で配達員の事を明確に認識していて、最後まで配達員にだけは危害を加えずにいたのがなおさらそう感じさせる。
マモノの声が聞けるようになるBルートも、改めてプレイしてみるとあんまり響かなかった。
「敵にも敵の事情がある」という話なのだろうが、いかんせん敵の背景がそこまで濃く描写されてるわけでは無いので、敵の声が聞こえたところで感情を揺さぶられるのは難しい。「取って付けたようなお涙頂戴劇」のような感じがして、かえって冷めてしまったレベル。
完全にCエンドとDエンドが、全てを持って行った作品。まぁBエンドの最後も、長年苦労してきた主人公の本体が報われたというオチが見れて良かったけど。
#システム
率直に言って、もう少し細かい所を改良してくれても良かったのではないかと感じられた。特にマップ移動周りとイベントスキップ。
ファストトラベルで仮面の街やロボット山に行けるようにするべきだったし、いちいち船着き場に行かなくてもファストトラベルを使わせてほしかった。最近のオープンワールドとかにありがちな、「マップを開いたらどっからでもファストトラベルのポイントに飛べる」みたいな感じで。原作から「移動が面倒だなぁ」と感じていたが、全く改善されていなくて驚いた。
また、周回が前提のゲームなのに、飛ばせない会話イベントが多かったのは何だったのだろうか?
せめて、神話の森等で発生したサウンドノベルのように、ボタン長押しで高速スキップぐらいは会話イベントでも出来るようにしておくべきだったと思う。おかげで、周回をしなければならないということを事前に分かっていたとはいえ、その周回がかなりだるく感じられてしまった。
また、ロボット山の店で強化と売買を一度の会話で切り替えられないのも地味に面倒。足りない素材を強化の欄で見て、そこから売買の欄に移って素材を補充…としたいのに、強化メニューを閉じたらまた話しかけて売買を選ばなければならないので、そこが気になった。
細かい点と思うかもしれないが、今作は強化する武器が多いので強化する機会が多い。それに伴って、素材を補充する機会も多い。
てか、同じ店なのに強化と売買を一度の会話で切り替えられないって今時どうなの…テイルズとかでは普通にできてたよね。
あと、チュートリアル。チュートリアルを敵から手に入れることが出来るのだが、入手した際は「『○○(チュートリアルの項目名)』を手に入れた」としか告知されない。
つまり、新たなチュートリアルはいちいちメニューを開いて自分で確認しなければ、一切中身を確認できない。
チュートリアルっていうのは、要はゲームの説明なんだし、初めて手に入れた時は自動で開いてくれるべきじゃない?いちいち、ゲームシステムに関わる重要事項をメニューを開いて確認って…知って然るべき情報を知るために、その一手間を踏ませる理由が分からなかった。
このように、遊んでいてただただ不親切で気の利いていない設計が多いなぁと感じる場面が多かった。
#調整
あらゆる面でゆるい。ストーリーが目玉なソフトなので、ストーリーに集中できる調整だった。そういう見方をすれば良い判断だったと思う。
逆に言えば、歯ごたえを求める人には物足りないものになる。なので、そういう人には刺激が足りない難易度。
まぁ、目玉であるストーリーの進行を妨げるようなことになってしまうのはマイナスなので、個人的にはこれぐらいのゆるさがちょうどよかったと思う。
装備の強化素材集めが若干厳しかったが、強化しなくてもクリアするだけなら余裕なのでそこまで問題にはならないと思う。
金策も簡単だし、消費アイテムのドロップ率も高いので、回復アイテムに困る事も無かった。
なので、アクションが苦手なRPG好きという人でも、十分にこのゲームの世界やストーリーを楽しめるような親切設計だったと思う。
総評
項目 | 点数 | コメント |
戦闘 | 12/20 | 目新しさが無い、もっさりしている、地味で爽快感が無い…と、原作からの進化が見られずに残念。せっかくのリメイク(バージョンアップ)なので、もっとアクション面を強化してくれても良かったのでは? |
グラフィック | 12/15 | 特別綺麗だと褒める程でもないが、現代風にキレイな感じにはなっている。モーションや表情の動きも綺麗。 |
ストーリー・キャラクター | 12/15 | この作品の神髄。正直、ゲーム的な面はいまいちに感じられる場面がかなり多く、モチベが上がり切らない時間が長かった。しかし、その果てに見たCエンドとDエンドはやはり切なくて良いビターエンドだった。ただ、追加されたEエンドの蛇足感が強かったので、そういった意味合いではかなり微妙。 |
システム | 11/20 |
ファストトラベルが少し限定的で、エリア移動が面倒。ロボット山の店での強化と売買がいちいち話しかけ直さなければできないので面倒。周回を強要する癖に、飛ばせないイベントが多すぎてテンポが悪い。…と、今時にしては不親切…というか単純に面倒な点が目立った。 |
調整 | 18/20 |
理不尽な戦闘は無く、難易度調整があるのでアクション初心者でも簡単に進められる。金策も簡単だし、目玉であるストーリーや雰囲気を気軽に堪能できるのは良い調整だったと思う。逆に言えば、歯ごたえは皆無なので少し物足りなさを感じてしまう面も無きにしも非ず。 |
リメイク要素 (独自項目) |
5/10 | リメイクなのかバージョンアップなのかは知らないが、10年以上前のゲームを改めて出すのなら、もう少し色々と改善してくれても良かったのではないか?追加要素も個人的にはいまいちに感じられることが多く、正直「10年以上経過した今、改めて出すのがこれか?」と感じてしまったぐらい。 |
合計 | 70/100 | ~59:駄作 60~69:凡作 70~79:佳作 80~89:良作 90~100:名作 ※暫定 |
PS3版を遊んだ時は「良いゲームだった」と思っていた。が、10年以上経過してゲームというものの水準が上がっている現在に改めて遊ぶと、かなり物足りない上に色々と配慮が足りていないゲームだと感じられてしまった。
ストーリーがウリなのは知っているし、実際そこに関しては相変わらずよかった。
しかし、そこしかウリが無いというのは…それだと、ゲームとしては高い評価を点けられないというのが正直なところ。しかも、追加されたストーリーも微妙だったという追い打ちまで仕掛けられたし。
リメイクされたにあたって、追加要素も微妙、システムの改善も無い、目立った進化やシステムの追加も無い…と、「リメイクして再販する必要があったのだろうか?」と疑問に思ってしまった。
フィリスDXの感想記事でも書いたが、再びリリースするならば、せめて元々挙げられていた改善すべき点ぐらいは改善してからリリースしてほしい。そう思ってしまうのは贅沢なのだろうか?
終わり。